ドレン問題の過去の対策
KHKにまとめられたものをここに抜粋します。
1.ドレンによるダイヤフラム破損事故の調査及び対策(昭和51年度)
自動切替式調整器の中圧ダイヤフラムが破損する事故が多発したため、事故調査が行われた。原因はドレンの付着により、中圧ダイヤフラムの膨潤及び物性の低下が起こり、そこに何らかの理由で異常な高圧がかかってダイヤフラムが破損した。
ダイヤフラムが破損した調整器より採取したドレンの成分を分析したところ、約90%がゴムに含まれる薬品であった。
発生源を調べたところ、これらの薬品はLPガスにより高圧ホースのゴムから抽出されたものであることが分かった。また、ダイヤフラムや弁ゴムに対するゴム配合薬品の影響を調べたところ、可塑剤DBPは他の薬品に比べてゴムを著しく膨潤させる性質を持つことがわかった。その為、高圧ホースのゴムに配合する可塑剤を比較的膨潤性の少ないDOAとし、配合量を必要最小限に抑える応急的な対策をとった。
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・可塑剤とは |
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DOAは塩化ビニル樹脂および合成ゴムに対してすぐれた低温柔軟性を与える耐寒性可塑剤で熱、光安定性もすぐれ耐寒性可塑剤としては加工性も良好です。 |
2.可塑剤無配合高圧ホースの開発(昭和52〜57年度)
ドレンの主成分が高圧ホースに配合された可塑剤であることが分かったため、可塑剤を配合しない高圧ホースの開発が行われた。
複数のゴム素材について検討を行った結果、加工性の良い特殊なNBR(ニトリルゴム)を用いることにより、可塑剤を配合しない高圧ホースを開発した。
抽出試験では、可塑剤以外の成分を含めた全抽出量が従来品に比べて1/7以下に低減した。また、耐候性、耐低温性の評価を主な目的とした最長3年間のフィールドテストを行い、実用上問題のないことを確認した。
以上の結果を受けて、製造される高圧ホースは全て可塑剤無配合品へと移行し、これ以降のドレンの発生量は大幅に減少した。
3. 可塑剤無配合高圧ホースの使用時のドレン発生状況について(昭和61、62年度)
北海道、千葉、沖縄の3地域で、自動切替調整器の劣化状況を調査した。
昭和62年に回収した286個の中で、不具合の生じた34個についてその原因を調査した。そのうち経年が6年以下の調整器15個(可塑剤無配合ホース使用と考えられるもの)の内、8個がドレンによるものであった。
ドレンの成分分析の結果、ゴムの可塑剤及び老化防止剤が検出され、これらは高圧ホースのゴムから抽出されたものであることがわかった。可塑剤無配合高圧ホースはホース製造時には可塑剤を使用していないが、ゴム素材や配合剤中に可塑剤が含まれており、それがLPガスに抽出されドレンとなっていた。
4.N型高圧ホースの開発(平成2、3年度)
ドレン発生量をさらに低減することを目的に、低抽出型高圧ホース(N型高圧ホース)の開発を行った。
N型高圧ホースは、ホース内面をナイロン樹脂でライニングすることにより、LPガスとゴムが直接接触することを防ぎドレンが抽出されないようにしたものである。
従来型高圧ホース(可塑剤無配合高圧ホース)と開発したN型高圧ホースについて、各種溶媒と抽出試験を行った結果を、N型は従来型に比べて、ドレン抽出量が大幅に減少していることが分かった。
以上の結果を受けて、平成4年度には製造される高圧ホースは全てN型ホースに切り換えられた。
5.N型高圧ホース使用時のドレン発生状況について(平成6年度)
N型戸圧ホースの使用した設備でのドレン発生状況を調べるため、回収調査を行った。
取付け後1年又は2年経過した自動切替調整器20台を回収調査したところ、うち2台でドレンの発生が確認された。ドレンはどちらも中圧部に付着していたが、量的には極少量であった。N型高圧ホースを使用した設備では、ドレンの発生が大幅に減少していることが分かった。
上記報告書の内容より思うこと
N型高圧ホースを使用していても、完全にドレンの問題は解決出来ていないことが伺われる。平成6年度のN型の発生状況では、一割もの調整器よりドレンが発生していることを報告している。調整器の交換期限が10年に延びていることを考えれば今後の対策が急務である。
また、S型保安ガスメータの圧力監視機能によりこの手の不具合は早期発見にいたると思うが、一割の確率は少なくない数字である。
ドレンの発生理由は他の要因も含めて再度検討する必要がある。例えば、ガスの着臭剤等も大きな要因ではないか?ボンベに直接接続されている単段調整器の内部にもドレンは付着しているからである。